「トレーラーを牽引するためには」の項で、下記の文章を書きました。
「車検証にこの記載があれば、この範囲のトレーラーなら何でも牽けることになります。ここで言う「何でも」については別途ご説明します。
この「何でも」については、実は条件があります。
一般的には、ヘッド車の重量の70%が、トレーラーの走行時総重量の目安とされています。
例としてヘッド車の車検証上の重量が 1500kg であれば、計算上1050kg までが目安となります。仮に車検証上(950登録)でブレーキ付き 1500kg と書かれていても、実際に 1500kg を牽くのは避けたほうがよいでしょう。
この70%という目安の数字はどこからきたのでしょうか。
ヨーロッパでは、この数値は80%程度と言われています。これはヨーロッパには平野部が多く、山と言うよりは丘と呼ぶべき程度の起伏が多いためです。また、ヨーロッパの人達は、平均的な日本人に比べて運転技術がある(車好きが多いから未だにMT比率が高い)ことと、運転マナーを守ると言われています。
では何故80%なのかと言うと、トレーラーは走行速度が上がるに従いどうしても挙動が不安定になりやすく、横風を受けるとトレーラーはフラフラと左右に揺れ出します。これをスネーキング現象と言います。このスネーキングを抑え込むためには、ヘッド車の重量が大きく影響してきます。つまりヘッド車の重量が重い(どっしりしている)程、トレーラーを抑え込んで安定方向に仕向けます。大型車に追い越しされても、風圧でフラつくことがありますので、ご注意ください。トンネルの出口でも急な横風には注意が必要です。そのためには、速度を落とすことがイチバンです。
では何故日本では、この数値が70%になるのでしょうか。
それは日本の地形にあります。日本は山間部が非常に多く、国土の70%を占めます。関東を出るには、必ず山間部を通らないと北にも西にも行けません。登り坂はエンジンのトルクやミッションのギア比などが影響しますが、下り坂では場合によってトレーラーがヘッドを押してくる訳です。その時にヘッド車が軽いと、容易にコントロールを失いやすくなり、スネーキング → ジャックナイフまたは連結が外れてトレーラーが暴走となるリスクが高まるのです。
未然に事故を防止するためにも、70%ルールは覚えておきましょう。
因みに上記例として 1500kg のクルマであれば、計算上1050kg までOKと書きましたが、この 1050kg はトレーラーの走行時総重量であって、車検証に記載の重量ではありません。一般論ですが、牽引免許不要の 750kg トレーラーに、満タンにしたLPガスボンベ、バッテリー、エアコン、ソーラーシステム、寝具、食器類、飲料、食料、ちょっとした着替えなどを積むと、簡単に 1000 kg 程度になってしまう可能性があることを、頭の隅にでも置いておいてください。
「何でも」の意味は、ヘッド車の重量の70%以内で且つ950登録の範囲内のトレーラーであれば、トレーラーの種類やメーカー、モデルを問わず何でもOKということです。但し、以前にも書いた通り、アメリカンとヨーロピアンは規格が違うので、別扱いです。
昔はトレーラーの車検証に、ヘッド車の形式番号が記載されて、ヘッド車が限定されてしまっていたのです。現在でもトレーラーが 2000kg 以上の場合(950登録の範囲外)は、従来通りヘッド車の形式番号がトレーラーの車検証に記載され、ヘッド車が限定されてしまいます。
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