キャンピングトレーラーのブレーキ

キャンピングトレーラーのブレーキは、どのように作動するのでしょうか。


実はココ、アメリカンとヨーロピアンでは作動方法がまったく異なるのです。自分はヨーロピアントレーラーを牽引しているので、ここではヨーロピアントレーラーについて書きます。


ヨーロピアン・キャンピング・トレーラー(以下単にトレーラーと略します)は、メーカーや車種、重量に関わらず、慣性ブレーキという方式の機械式ブレーキを搭載しています。これは連結器の部分が押されることによって、ロッドで繋がったブレーキを押します。下の写真のフレーム(左側のシルバーの部分)と、連結器の先端(右側の部分)との間に、黒い蛇腹(赤丸)部分がありますが、ココにダンパーが入っていて、伸び縮みします。走行中は伸びていますが、ヘッドが減速するとトレーラーに押されてダンパーが縮みます。これによりロッドが押されてブレーキが掛かる仕組みです。

慣性ブレーキ by Disco-4@東京©


慣性ブレーキで注意が必要なのは、スタートするときです。信号で止まるために減速していくと、ダンパーが押されて縮みます。この状態で信号が青になっていきなりアクセルを踏むと、ダンパーが勢いよく伸ばされてストッパーに当たり、ガツンという衝撃を感じます。これを繰り返し行うと、最悪Aフレーム先端やカプラー部分にダメージが生じます。
スタートの時は、クリーピング現象でノロノロと前進してダンパーをゆっくりと伸ばし、伸びきったところでアクセルを踏むようにしてください。牽引走行時は急が付く動作は避けたほうが安全のためです。


この方式のメリットは、ヘッドに特別な装備をしなくてもよいことです。灯火類を繋ぐ13ピンコネクターとトウバーさえ装着されていれば、牽引することが可能です。因みに、13ピンコネクターの配線は、EU内の規格により決まっているので、ブレーキを踏んだらウインカーが点灯したというようなことは起きないようになっています。
(ヘッド側に配線ミスがあった場合や、トレーラーの灯火類をLEDに変更して、抵抗値が極端に低くなった場合は別です)


その逆にデメリットもあります。長い下り坂だと、トレーラーがヘッドを押す形になるため、トレーラーのブレーキが掛かった状態になることです。日本の高速道路の勾配程度であれば問題ありませんが、一般道で勾配がきつく、尚且つ長いところでは注意が必要です。
我が家の場合は、トレーラーが約1.8トンもある重量級、且つ1軸トレーラー(=ブレーキユニットが左右1組づつ)であることが主な要因で、ブレーキへの負担が大きくなっています。


牽引免許が不要な 750kg クラスのトレーラーであれば、これほどのことは先ず起きないと思いますが、トレーラーは軽い方がよいという理由のひとつでもあります。


自分の経験上の話をしますと、夏場の志賀高原から信州中野ICへと向かうR292では、途中1回程度ブレーキ冷却のための休憩が必要です。
中軽井沢から碓氷軽井沢ICへ通じる道も要注意です。このとき、時間短縮のためにブレーキに水を掛けたり、冷却スプレーを使用するのはご法度です。急激な温度変化で、最悪ブレーキを壊します。他にも乗鞍高原など長い下り坂は要注意です。山間部へ行く際は、事前にルートや休憩場所を検討し、時間に余裕をもって行動した方がよいでしょう。


これも自分の経験上の話ですが、絶対通らない方がよいのは、群馬と長野の県境にある、湯の丸スキー場から県道94号を下ってR18に抜ける道です。 ここは片側1車線の狭い道で、途中に退避場所がありません。過去にブレーキを焼いてR18に到着した頃には、モクモクと煙が出て、火事になるかと思ったくらいです。帰宅して直ぐに整備に出しましたが、ブレーキユニット全交換となり、手痛い出費となりました。
但し、あくまでも自分の経験上のことです。我が家のトレーラーがヘビー級なので、固有の問題であるとも考えられます。


逆に紅葉シーズンの日光いろは坂は、急カーブと急勾配の連続ですが、昼間は渋滞が激しくノロノロ運転となるため、ブレーキへの負担は軽くて済みます。やはり下り坂で速度がある程度出るところが要注意です。


ここまでのご説明で、疑問に思われたことはないでしょうか。
慣性ブレーキは押されると作動する、ということはバックする時はどうなるのでしょうか。
これは慣性ブレーキの特徴で、バックしようとして、後ろ向きの力を加え続けると、ブレーキが解除されてバックできるようになるのです。
すべて機械式に対応することで、汎用性を広げているのです。
この解除システムが特殊であるため、一般の自動車整備工場ではメンテナンスが出来ない場合があります。車検や定期点検の際は、トレーラーの扱い実績があるショップか、正規販売店にご相談された方が安全かと思います。ここの調整を誤ると、最悪ブレーキが効かなくなるか、解除されないため、バックできないということになります。ブレーキは重要保安部品のひとつですから、きちんと整備しましょう。


これを読んでトレーラーって危険なモノと思わないでください。
どんなものでもそうですが、機械や電気モノは正しく扱ってこそ便利で快適ですが、間違った使い方をすると危険なモノと化します。
毎日使う調理器具ですら、包丁など危ないものもある訳ですから。
その辺り、誤解のないようにお願い致します。
トレーラーは安全に使えば、家族みんながハッピーになれる、便利で快適な道具なのですから。





#campingtrailer #trailer #caravan #European #break #breaksystem
#overrun #overrunningbreak
#キャンピングトレーラー #トレーラー #キャラバン #ヨーロピアン
#ヨーロピアントレーラー #ブレーキ #ブレーキシステム 
#オーバーラン #慣性ブレーキ #スタート 

camping trailer, trailer, caravan, european, break, break system,
over run, over running break,
キャンピングトレーラー, トレーラー, キャラバン, ヨーロピアン,
ヨーロピアントレーラー, ブレーキ, ブレーキシステム,  
オーバーラン,  慣性ブレーキ, スタート,  

皆様からのコメントをお待ちしております。