屋内展示で広いスペースを取っているのが、精密模型の展示です。
これだけレベルの高いモデルたちが収集されていることに、驚きを禁じ得ません。
このホーネットは巨大な模型です。縮尺 1/50 で全長が何と 5m もある米海軍の航空母艦です。我が家の Land Rover Discovery-4 より全長が長いのです。製作に１５年も掛かったとのことですが、納得の出来映えです。
飛行甲板上に並んだ航空機は、North American B-25 Mitchell です。
B-25 ミッチェル は、Bomber ボンバー、つまり爆撃機です。
1942年4月18日のドーリットル空襲（米軍による日本本土初の空襲）に使用された機体です。ドーリットルとは、B-25 爆撃機隊の指揮官であったドーリットル中佐に由来します。またこの作戦に使用された航空母艦が CV-8 Hornet で、飛行甲板には 16 機の B-25 爆撃機が搭載されていました。この精密大型模型は、まさにこの時の様子を再現しており、B-25 16 機が 1/50 サイズで作り込まれています。
この作戦では長距離飛行が要求されるため、必要ないと判断された装備類は重火器も含めてすべて取り外され、空いたスペースはすべて燃料タンク増設に利用されたとのことです。
実際の機体は、米西海岸のサンフランシスコで、大型クレーンによって吊るされて搭載されました。そもそも爆撃機は空母への搭載を前提に設計・製造されていないため、着艦できるようにはなっていません。そのため、ホーネットを飛び立った B-25 は、最終的には台湾の飛行場に着陸したそうです。
この状態でよく全機発艦できたものだと思います。
全長が 5ｍ もあるため、真横からの撮影はできませんでした。先頭の機体が、飛行甲板の中央付近まで来ていることが判ります。いかに滑走距離が短く、発艦が難しいものであったかが伺い知れます。
Ford Trimotor の大型模型飛行機です。一見するとラジコン機のようにも見えるのですが、本物の機体も機外からワイヤー操作で稼働翼を操作する構造になっているので、この模型はそれを忠実に再現しているものです。エンジン部分はかなり細かく作り込まれています。
フォード・トライモーターは、自動車メーカーのフォードが製造した、３発のレシプロエンジンを搭載した旅客機及び貨物機で、一部は軍用にも使用されました。しかし販売不振のため、フォードはこのモデル１機種を製造しただけで、航空機製造から撤退しました。名前のトライモーターは、「３基のエンジン」から来ています。
ちょっと残念なのは、主脚のタイヤサイズが、機体の縮尺に合致していないことです。既製品を流用したのでしょうが、サイズが大き過ぎます。
Douglas A-1 Skyraider ダグラス A-1 スカイレイダーです。
本機の最大の特徴は、単発のレシプロ攻撃機としては最大のペイロードを持つことです。最大搭載能力は 3130kg に達し、４発の大型爆撃機 ボーイング B-17 フライング フォートレス (空飛ぶ要塞) の 3600kg に迫る搭載能力を有しています。「スカイレイダーに搭載したことがないのは、キッチンと便器くらいだ」と評判が立ったことから、実際にキッチンを機体に取り付け投下に成功し、洋式便器の爆弾も投下した実績があります。これにより「スカイレイダーに搭載できないものはもはや何もない」という逸話が誕生しました。
この博物館は好きモノには、本当にたまらないモノばかり展示されています。
まだ続きます。
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